古くからある良いモノをかけ合わせて
今の時代に合った形で発信し続け、残していく。

一般社団法人 新潟Remix協会
代表理事 久住 健

積み重なった文化を新しい文化に
~新潟Remix協会のはじまり~

新潟Remix協会は2022年に立ち上げた団体です。立ち上げのきっかけは、行政からいただいたある相談でした。

「街中でスケートボードをしている子供たちが多くて、あらゆるモノが傷ついたり壊れたりしている。そういうのをなんとか抑制する方法はないか。」

この相談を受けたとき、「子供たちの遊び場や機会を奪うのは間違えている」という思いから、「それなら子供たちがスケートボードをできる場所を作りましょう」とイベントを主催したのが新潟Remix協会の始まりです。

子供たちは街中を傷つけたくてやっているのではなく、スポーツとしてやりたいができる場所がない。街中の人たちはスケートボードをやりたい子供たちの思いや、スケートボードというスポーツ自体を理解できていない。

これまでアーバンスポーツというと「やんちゃな遊び」というイメージを持たれがちで、スポーツとしての認知が希薄でした。しかし、スケートボード・自転車BMXフリースタイル・バスケットボール(3×3)・スポーツクライミングなどのアーバンスポーツがオリンピック種目に選ばれたことをきっかけに、イメージが一新されつつあります。要は「これはスポーツなんだよ」ということを知ってもらって、共感を得てもらう必要があるんです。

このような理由から、新潟Remix協会としてはアーバンスポーツができる場所と、知るきっかけを提供することが、子供たちと街の両方のためになると考えました。

新潟Remix協会では、これまでの文化を今の時代に合わせた新しい文化として認知を深め発信していきたいと考えています。今メインでやっているのがスポーツなだけであって、これはスポーツに限ったことではないんです。

West Coast Remix Park NIIGATA スケボー集合写真

世の中に埋もれている良いモノを存続させ続ける
~新潟Remix協会としてのミッション~

スポーツのほかにも、古くからある良いモノを正しく発信できていないことで、存続の危機に直面しているモノや文化・お店などが多くあるなと日々感じています。

多くが、「存在を知ってほしいけど、何をどうしたらよいか分からない」というケース。そんな人たちに気軽に頼ってもらえる存在でありたい。発信できる場所を提供することで、良いモノや文化などの存続に貢献していきたい。これが我々の想いであり、使命であると考えています。

今はありがたいことに色々なところから声をかけてもらっています。例えば、短い板を使って滑る競技の「ファンスキー(スキーボード)」を広めたいから冬のイベントで取り上げてほしいとか、サウナやアウトドアのイベントをやってほしいとか。

あと面白かったのは、アメリカ文化がどれだけ日本に入り込んでいるかを見るイベントの相談です。車や食やファッションなど、日本国内に紛れているアメリカ文化ってたくさんあると思うんです。それを知ることで、「もっと日本風にアレンジしよう」とか「日本っぽく発信できるんじゃないか」とかにつなげられるようなイベントをしようって話をしています。 「こういうものが必要」「こういうことがやりたい」と声をかけてもらえれば、衣食住どんなジャンルでも取り組んでいきたいと考えています。

共感を得ながら新しい形を一緒に創り上げていく
~新潟Remix協会の活動内容~

新潟Remix協会の活動内容は、簡単に言うと発信代行です。ビジネスにおいて発信することはとても大切ですが、結局何をどうしたら良いか分からない人が圧倒的に多い印象です。例えば、発信に活用可能な助成金や補助金の進め方、街とのつながり方、発信手段の選定方法など。そういうのをすべて含めて「こういうことできませんか」と相談してもらえれば何でもやりますよ、というのが今のスタンスです。

その中に、今はアーバンスポーツ事業とクリニック事業があるイメージです。

発信するためには、様々な人が見れる場所の提供が必要なのかな、というところで、今は発信する場所としてイベントを主催することが多くなっています。

立ち上げのきっかけとしてあった「子供たちがスケートボードをできる場所を作る」に関しては、新潟市の西海岸公園でスケートボードとバスケットボールのイベントを主催しました。それをきっかけに行政とのつながりが深くなり、西海岸公園に新しくバスケットコートを作ってもらって、2023年に完成こけら落としイベントを行いました。2023年の冬にフェンスをつけてもらう…など、今も現在進行形で動いています。ひとつやって終わりではなくて、一般の方からの意見を受けて「こういうのも必要だな、こうしてほしいな」というのを代行的に行政に話をして、やりとりを続けて形にしていければなと。

これからも、行政や法人などと連携して、共感を得ながら新しい形を一緒に創り上げていきたいと考えています。

ゴールは決めていない。常にアップデートして活動を続けていく
~新潟Remix協会のビジョン~

「これをしたらゴール」というのは基本的に考えていません。常にアップデートして継続することが大事だと思っています。

イベントに関しても1回やって終わりとは考えていなくて、2回目・3回目と継続していくことが大切かなと。たぶん続けることが1番大変で、でも続けることで期待値も変わってくるし、その中でできることも増えていくと思います。

今やっているバスケットボールに関しては、今後クラブチーム化を考えています。2022年にスポーツ庁が公立中学校の「運動部活動の地域移行」を提言したことで、スポーツをやりたくてもできない子供たちが今後さらに増えていくと思うんです。その受け皿として、クラブチームのような体制を作っていければなと。

それに伴って、スキルを教えるクリニック活動も進めていて、今は6回目の企画を作っているところです。1回目のときは5~6人の参加者だったのが、4回目の今年は40人くらい集まって。徐々に参加者が増えてきてくれているので、バスケットボール界の中で「Remixってバスケットボールをしている団体ですよね」というのが少しずつは広がってきているのかなと思います。

Remix 3x3クリニック

こういう活動こそ、時間をかけて継続することが大切だと思うので、常にアップデートしながら続けていきたいです。 今は子供向けにやっていますが、今後は大人たちを対象に1つのプロ団体みたいなのを作れたら面白いかなとも思っています。イメージは持っているので、まずはやってみようと。できるかどうか分からないことでも、やらなきゃできることもできないので。

いい意味で新潟Remix協会を利用してほしい
~新潟Remix協会のあり方~

世の中に埋もれていることに気付いても、どこに言えば良いか分からない人って多くいると思うんです。インターネット検索しても分かりにくいことも多いので、新潟Remix協会は「なんでも言える場所」でありたいと考えています。

実際バスケットボールに関しても、「こういうことをしたい」「こういうイベントをしたい」「ここの場所を使いたい」と言っても、門前払いをされるケースが多くて。例えば新潟Remix協会としてイベントを主催した西海岸公園も、本来公園は一般開放している場所なので独占権が取れない場所なんです。でも、誰にどのように言うかによってできることがある。ただ、誰もが同じやり方ができるわけじゃないので、やりたいことがあるときにはぜひ新潟Remix協会を頼ってほしいです。

そういう意味で、使い勝手の良い団体になれればいいと思っています。

代表理事写真

取材日:2024.5.1